note7:IT投資は『足し算』ではなく『引き算』で考える


以前、地場のITベンダーで営業をしていた頃は、機能が豊富で最新のシステムほど顧客のためになると信じ、経営者に多機能な提案を積極的に行っていた。ベンダー側にとっても多機能な提案は客単価が上がるため歓迎されたが、実際には投資額に見合うだけの満足を得てもらえたとは言い難かった。

中小企業の現場は本業だけで手一杯で、システムに用意された機能のうち実際に使うのはごく一部に限られる。時間や人手というリソースの制約から、多くの機能は使われないまま「高機能な電卓」や「使いにくいExcel」のような存在になり、投資として十分なリターンを生まなくなる。

積極的にIT化を進め、基幹システムやグループウェア、チャットツール、電子稟議、ノーコードツールなどを次々に導入した企業の事例を見たことがある。ツールが増えるほど情報を追いかけるだけで時間が奪われ、いつしか「システムに正しく入力すること」自体が仕事の目的になってしまう、いわゆる「IT疲れ」に陥っていた。

こうした投資がうまくいかない背景には、「誰のために」「何を目的に」導入するのかという視点の欠如がある。現場の価値向上よりも管理側の都合が優先され、入力項目ばかりが増えて現場の負担が重くなる一方、そのデータが経営判断に十分活かされていないことも少なくない。

本当に効果の出るIT投資は、まず業務そのものを見直して無駄な手順や書類を削ぎ落とし、次に成果に直結する核となる機能だけに絞って選び、「あれば便利」な機能は後回しにするという順序で進めるべきだ。多機能であることよりも、使うべき人が簡単に使えて確実に成果が出ることこそが、限られたリソースで戦う中小企業がITを武器にする秘訣だと考えている。

この続き・詳細版はnoteでも公開しています:https://note.com/abetakaki/n/nc88e1f5cee19


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