岩手で仕事をしていると、地震や豪雨といった自然災害の話題を避けて通れない。中小企業の経営者やIT担当者に「もし明日、会社のシステムが止まったら」と尋ねると、多くは「備えなければとは思っているが、具体的な対策はできていない」と答える。地震・停電・水害・サイバー攻撃・機器故障など、システム停止の引き金は身近に数多くあり、規模の小さい会社が狙われにくいということもなく、備えの有無だけが被害の分かれ目になる。
事業継続の備えというと、BCPの策定やデータ保全、システムの二重化といった投資型の対策が語られがちだが、それらに加えて重要なのが「手作業(アナログ)」で最低限の業務を続けられるようにしておくことである。すべてのシステムが止まった状態で、納品伝票を手書きできるか、生産計画を電卓と紙で計算できるか、在庫数量を把握する手段があるか。こうした問いに答えられる備えが、いざという時の安心につながる。
アナログ対応を考えるうえでまず取り組むべきは、社内のIT資産を「見える化」し、どの端末やデータがどの業務に紐づき、誰が管理しているかを明確にすることである。あわせて業務フローを「標準化・シンプル化」し、手順や書類、承認の流れを整理しておけば、特定の担当者しか分からない属人的な仕組みを避けられ、障害発生時にも誰もが状況を把握して動ける「機動力」が生まれる。
ITがどれだけ便利で価値があっても、絶対に止まらない仕組みは存在しない。だからこそ、最後は自分たちの頭と手でどうにかできるという備えを持っておくことが大切である。必要なのは大きな投資ではなく、意識と準備であり、アナログの手順を少し残しておく、業務フローを一度見直してみるといった小さな一歩が、将来の安心につながる。
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